これ、ひょっとしたら誰も書いていないのでは?と思ったので備忘として書いておきたい。
長きにわたる大型音楽番組特番におけるジャニーズシャッフルメドレーの歴史においてもこれほど感動するシャッフルはなかったのではないか。
なお、私がここで言う「シャッフルメドレー」とは持ち歌好感のメドレーである。メンバー入り乱れるやつではない。何しろここ一年半はCOVIDー19の影響でシャッフルできないので。
それは「ベストアーティスト2020」の秋の番組で披露されたシャッフルだ。
ジャニーズWESTがSexy Zoneの「RUN」を歌った。
これはかなり特殊な話だった、と言うのは、普通こう言うシャッフルメドレーに出す曲というのは定番の曲が多く、嵐なんかのスーパーヒットがあるグループはそういう曲もあるが、大概のグループはデビュー曲あたりを出すことが普通なのだ。自軍のファン以外も見る、ジャニーズに興味のない人も見る番組なので知っている曲を出そうという親切心と思いやりからなる選曲なのだけれど、セクゾはここでRUNを出してきた。
RUNは2020年8月発売の曲である。
中島健人(Sexy Zone)と平野紫耀(King & Prince)のW主演ドラマの主題歌だった曲で、かなり気合の入ったプロモーションをしていたし、売り上げもSexy Zoneの中では良い記録を出していた。それを発売からわずか3ヶ月でもう他のグループに歌わせる、と言う。
中島健人は友人の少ない人だ。彼がかなり変わった人、個性が強く、そうそう大半の人と無難に付き合っていけるタイプの人ではないのは彼を見ていればすぐにわかる。彼はジュニア時代になんだか浮いていたし、同世代のジュニアたちが海に遊びに行ったり買い物に行ったりお互いの家に泊まったりするのに入っていなかったりとなんだか切ない話も多い。
彼は変わっているが魅力的で、我が強いけれど意地悪なところは全くない人だからジャニーズ内に彼のファンを抱えているし、友達とまでは呼べなくても仲良く話す相手はたくさんいる。だが友達、と呼べる人は少ないタイプの人なのだ。ジャニーズ内で友人らしいのはどうもSnowManの岩本照と、そしてジャニーズWESTの重岡大毅くらいのものだ。
中島はRUNのプロモーションに力を入れていて、毎日動画を出したり、その熱意について滔々と語ったりとしていて、彼にとってRUNが特別な曲であるのは明らかだった。そしてグループにとっても、2年弱お休みしていた松島聡が復帰して久しぶりに5人で披露できた曲でもあり、歌詞の内容としてもこれからのSexy Zoneと重なるような曲でもあって重要な曲だった。
それを発売3ヶ月で他のグループに歌わせる。かなりの決断だと思う。
発表当初、セクラバ(Sexy Zoneのファンの名前)の中には「まだちょっと他のグループに歌われるのは嫌だ」と言う意見もあったが、結果は誰もが納得がいく、胸の熱くなるものだったと思う。
メドレーなので全ては歌わない。
ふまけん(中島健人と菊池風磨のコンビ、シンメ。大変人気がある)背中合わせの落ちサビから最後までがメドレーに使われたのだが、ふまけん部分、歌詞としても盛り上がる部分のそこは中島の数少ない友人で親友と公言する重岡大毅と菊池風磨の友人の小瀧望が担当、人選としてセクラバが納得できるメンツだった。加えて重岡はWESTのセンター、小瀧はWESTで一番人気のあるメンバーでもあり、外から見ても納得がいく。
最後のフェイクはWESTの歌うま三銃士(桐山、濵田、神山)の濱田と神山が担当して歌唱的にも危なげなくこなした。
この手のメドレーの衣装はそれぞれのグループが自分の既存の衣装から曲にあったもので他のグループと色やデザインが被らないものを着てくるものだが、WESTがSexy ZoneのRUNのために選んだのはツアーWESTV!の中から人気曲のYSSBの衣装でもあった深いグリーンの軍服系の衣装。WESTは関西系のグループなのでトンチキ系の衣装も多いのだが、ファンにも人気のあるかっこいい衣装を選んでくれたこともよかった。
そしてRUNのラストポーズ、メンバーが横一列で並んで拳で胸を指しセンターで中島が拳を前に力強く突き出すポーズ、覚悟と力強さを表すポーズは重岡が中島のパートを担当。
胸を打つ、それでいて誰にとっても満足のいく、素晴らしいシャッフルになったと思う。
シャッフルメドレーは定番企画でお祭りなのだから楽しければそれで大成功なのだが、たまに各グループの事情、それぞれのグループの人間関係を反映した感動のパフォーマンスが見られて大変尊い。今後もこういう素晴らしいシャッフルを見せて欲しい。